オリジナルペイント、オリジナルインテリア、とっても良いコンディションの1303Sですが、現代風に乗れるようアレンジした一品です。エアコンも追加しましたが、ちょっとした秘策を用意してオリジナルの雰囲気を壊さないようライトカスタムを施しました。BugSpotではフルレストアだけでなく、オリジナルを生かしたカスタムオーダーも受け付けております。お気軽にご相談下さい。

YOKOYAMA's 1974 Type I 1303S
ベース車は素晴らしいコンディションを維持している1303Sでした。塗装もオリジナルペイントです。
これをベースにメカニカルな部分に手を入れ、ライトカスタムを施すことにしました。オリジナルを重視した大人のカスタムです。
素晴らしく良いコンディションではありますが、現オーナーさんからのリクエストで、エンジン&ミッションのオーバーホール、前後足回りのフルオーバーホール、ブレーキ廻りのオーバーホールと長く調子よく乗りたいと機関廻りは本格的に手を入れることになりました。
そして日常の足とするために、クーラーの取り付けも行います。

CalLookにするわけでもなく、外観はオリジナルをKeepしつつどのように仕上がっていくのか・・・これから細かくご紹介していきます!
インテリアもダッシュにひび割れもなく素晴らしいコンディションです。エアコンを装着することになるのですが、ある秘策を用意しております。
サンルーフ付きです。
ヘッドライナーもオリジナルで素晴らしいコンディションです。
エンジンも素晴らしいオリジナルの素晴らしいコンディションでした。これをベースにエンジンをOHし、エアコンを追加。年間を通して快適にドライブできる03を目指します。
 
 
まずはエンジンを降ろしていきます。
続いてミッションも降ろします。
 
 
強制空冷であるVWのエンジンには、大きなファンが付いています。
エンジンの真上にあるファンハウジングの中で、発電機と共締めになっているファンがベルトで回されています。 その吸引力は想像以上に強く、エンジンルームに置き忘れたウェス(布)などは簡単に吸い込んでしまうのですよ!

写真はファンハウジングの裏側にある空気の取り入れ口ですが、ステッカーが張り付いているのが見えるでしょ? これはハウジングに張られていたバルブクリアランスのステッカー(純正)で、見事に吸い込まれていました。

こ れって意外とエンジントラブルの原因になりますから、要注意なんです。 小さなステッカーぐらいならほとんど問題はありませんが、大きなウェスが吸い込ま れたら冷却不足の原因になりますし、ファンのバランスも狂ってしまい唸り音がでたり、最悪のケースはファンの付け根が変形してしまうのです。

たまにエンジンルームのサウンドボードが吸い込まれている事もあります。

エンジンを吹かした時に唸り音が出る場合、念のためにファンの部分に手を入れて確かめてみると良いですよ。 ただしエンジンはストップして、Keyは外してから行ってくださいね。
友達などに間違ってエンジンを掛けられないためにKeyは外す事!安全対策です!!
 
足回りのブッシュ、ボールジョイント、ショック(KONI使用)などの交換、タワーバー取り付けと、本格的にO/Hしていきます。
 
 
 
下回りの防錆対策はとても重要なんです!
ご自分のVWの下をのぞいて見てください。タイヤの後ろ側は特にサビが発生しやすいところです。

今からでも遅く無いかもしれません。
場所に応じた防錆処理を行ってくださいね!
 
 
 
 
足回りの組み付けが進んできました1303S!
レーシーにするわけではありませんが、足回りの剛性をを増すために「ストラットタワーバー」を取り付けました。 とは言え、やっぱりカッコイー!!
 
 
 
 
 
 
チョッとマニアックなアイテムです。
’72年以降のセダンモデルにお乗りで、
足元にあるヒータ-アウトレットカバーの上部に凹みが
あるのをご存知ですか?
’69年モデルより採用されたプラスチックの
ヒーターアウトレットカバーですが、
112 2360 221(’71年11月頃)より、
この凹みのタイプへ変更となります。
何の為の凹みかと云いますと、
このガイドステッカーが貼られるべき場所の凹みなんです。
貼っているクルマはまず見ませんが・・・。

  ¥300/Pr

提供は東京のレディーバグさんでした!
 
1303Sはミッションの搭載が完了!
CVジョイントは全て洗って確認したところ、こちらも問題なし!

しかし・・・残念ながらと言うか、何となく予測はしてましたがリアのアクスルベアリングに不具合発見。
左右で交換する事になりました。
リアアクスルベアリングの交換です。
IRSのアクスルベアリングは、ボールとローラーの2種類を使います。
ローラーは転がり抵抗は多くなりますが、軸受けはボールより確実ですからIRSに採用されたんでしょうね。

ベアリング&オイルシールを交換してからスタブを打ち込んで完了です!
 
こちらはCVジョイントです。
分解後に洗浄して確認したところ、まったく問題はありませんでした! 純正に勝るもの無しですから、グリスを交換して再使用することにしました。

グリスはCVジョイント専用のモリブデングリスを使います。 間違ってもベアリンググリスを使ってはダメですよ!!
 
これでリアの足回りも完璧!
今から試運転が楽しみです!!!
 
 
 
 
 
 
 
 
エンジンカバー&インテークマニホールドのブラスト処理が完了しました。
この後洗浄してからペイントの準備に入ります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エンジンをバラしていきます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
つづいてミッションのOHに取りかかります。
作業を進めている'74 1303Sのミッションを分解してみると・・・デフキャリアは真っ黒でした。
スラッジなど付くはずもないミッションの中が真っ黒という事は、ミッションオイルの管理が悪かったのですね・・・。
比較的楽に終わるかなと思っていましたが「ブルータスおまえもか〜!」シーザーの気持ちが何となく分かるような分からないような・・・ナンのこっちゃ。

バグスポHPではしつこいぐらい書いていますが、ミッションオイルの管理は大切なんです。
エンジンオイルは気にする方が多いのに比べ、ミッションオイルは意外と関心が薄いようですね。
整備する自動車屋も無関心だとこのような事になってしまいます・・・。
バグスポでは車検毎の交換をお勧めしています。
このサイクルで行ってさえいれば、非常に良いコンディションを保つ事ができるでしょう。

今回のミッションは、デフのサイドベアリング(写真右の赤矢印)にヒドイ損傷がでていました・・・。
ドライブサイドのベアリングなんですが、このようになった原因は、オイル管理のあまさでしょう・・・。

ミッションオイルは10,000〜15,000km毎、もしくは2年毎に交換してくださいね!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
バグスポがお願いしている内燃機屋さんは「オートレース」用のへッドも多く手掛けている所で、空冷エンジンの特にアルミヘッドのスペシャリストです。

先ずは職人さんの「匠の技」をご覧下さい。


 
ちなみにスリ合わせに要する時間は、1ヶ所約1分です。 
と言うより、それ以上必要有りません! それが職人の技なのです。
バグスポはバルブラッパーは持っていません。タコ棒で充分だからです。
白っぽくなっている部分がバルブとシートリングの当たり面です。
 
 
 
 
 
 
 
シリンダーヘッドが仕上がれば後の作業は早いです!

ピストンをシリンダーに組み、プッシュロットチューブにシールを塗ってちょちょいのちょい!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
フロントフード内のクリーンとフレッシュエアーのBOX内もカバーを外してクリーニングしました。
ここはホコリが溜まり、それが原因でサビが発生しやすい部分です。中を掃除した後に防錆処理をしました!

ついでにウォッシャの修理も行おうとノズル、タンクをチェックしたところ、室内のスイッチに問題が出ていました。
ナイショだったのはクーラーの取り付けです。
ナァ〜ンだと言わないでくださいね・・・。

チョット凝った事をやらかしました!
FLAT−4さんで販売しているクーラーKITと、当時YANASEで販売していたUSED純正クーラーKITを合体してみました。

現在販売されているクーラーKITの室内ユニットは、皆さんご存知のように吊り下げ式です。
1303Sの場合この吊り下げ式では、助手席側の足元が狭くなるばかりか、乗っている人が冷え切ってしまいます・・・。
こちらは純正クーラーが装着されていた1303Sドナーカー。純正のエバポレーターを取り外して今回のプロジェクトに使用しようというわけです。
このエバポレータユニットをすべてプロジェクトカーに移植していきます。トランクルームに設置されたユニットからダクトで室内に冷風を送る構造になっています。
 
単純に移植といっても、FLAT4のコンプレッサーと配管をベースに合体させなくてはならないので、色々なモディファイが必要となります。
 
 
プロジェクトカーにきれいに収めることが出来ました!

吹き出し口がインダッシュですからスッキリでしょ!?

出来上がった写真を見るとナンて事ないと思われそうですが、これを行うには配管、配線、ボディー・・・加工するところはテンコ盛りです。
少々費用は掛かってしまいますが、これだけスッキリ取り付けできれば納得していただけると思います。
古くなったシートパットは座り心地が悪くなるだけじゃなく、大切なシートカバーまで切れてしまう事もあります。

写真左は’73〜’76のシートパットで、ご覧のように裏側は崩れ落ちています・・・。
これではお尻が痛くなっちゃいますよね。

このシートには有りませんでしたが、中にはスプリングが折れている場合もあり、修正するのに時間が掛かってしまう事もあります。

「座り心地が悪いな・・・」と思ったら、早めの交換をお勧めいたします!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エアコンのコンプレッサーによって行き場を失ったコイルはファン種ライド上部に装着いたします。
 
 
エンジンが載った1303S!
どうですかこの完成度の高さ!(自画自賛)
 
無事に「火入れの儀」が完了しました1303Sのエンジンです。
とってもバランスの良いエンジンに仕上がったと思います。
やはり素材がよいと良いものができますね!
クーラーのコンプレッサーを取り付けてみると・・・・アリャ!?? アクセルリンケージとコンプレッサーのステーが当たる・・・。これではアクセルをふかした際にリンケージとステーが干渉してしまいます。
ということでコンプレッサーのステーを作り直しです。やはり一筋縄にはいきません。
良い具合にステーを逃がし、アクセルリンケージとの干渉も解消されました。
 
 
 
 
オーディオ&タコメーター取り付けを始めました!
ナンとかインダッシュで収まりそうですね。

流行りの「スタンドタイプのオートメーター」は使わず、あくまでもシンプルにとオーナー様より指示が出ています。

ダッシュパットには割れひとつありませんから、ここに穴を明けタコメーターを付けるなど考えたくもありません。
 
 
インテリアはこのように仕上がりました。ステアリングはレカラ。控えめなタコメーターも大人の雰囲気を演出しております。
 
エアコンの吹き出し口は全て純正と同様です!
クッションをやり直したオリジナルのシート。新車の座り心地が復活いたしました。
オリジナルのヘッドライナーもクリーニングでご覧の通りキレイになりました。
 
 
 
ホイールはFLAT4から出ている911クロームの4.5Jをチョイスしました。1303Sにも素晴らしいマッチングですね!
リアは5.5J
まさに大人のカスタム!
オリジナルを大事にしたライトカスタムの1303Sの完成です!