1961年型ワーゲンバス・ウエストファリアのレストアをご紹介いたします。
1997年に当社で輸入したこのウエスティ(Westy)は、二人のオーナーさんを経て2004年にIWAMOTO様にご契約頂きました。
日本に来てから傷みが進んでしまったので、今回大掛かりなレストアをする事になり、ボディー、インテリア、エンジン、ミッションとクルマ一台丸ごと手を入れました! ベースの状態から、いろいろな作業を経て綺麗に生まれ変わっていく様子を、ゆっくりご覧下さい!

ご契約前の写真で、この状態からお客様は車を見てご契約頂きました。


さぁ、いよいよレストアの開始です! 先ずは外装パーツを外す事からはじめます。
剥離作業は先ずルーフからです。
このように部分剥離を繰り返していきます。日本の気候では、外装すべてを剥離してしまうと余分な所に錆が出てしまいますから。

BUSのウィークポイントの一つ、ロッカーパネルの張替えです。表面の見た目以上に、内側が錆びているのがここ!

アウターパネルを剥がして、インナーに防錆材を塗ります。(黒い塗装がそれです)
新品のアウターパネルですが、そのままは付けられません。溶接部分の補強や合わせ面のフランジングと、仕事はたくさんあります。
MIG&スポット溶接にて取り付けられた、アウターパネルです。溶接部分にはどうしてもパテを使いますが、決して厚塗りはしていません!
右コーナーを下処理している所ですが、ハンマーリングにて表面を調えられた鉄板をアルミパテで細かい凹凸を修正します。ここも最低限のパテしか使いません!
エンジン&フューエルタンクを外したエンジンルームも、もちろん綺麗に下処理します。
リアハッチの下側は、この年式のBUSって意外と傷みが出るのです。当然張替えです!!

板金屋泣かせなのが、ここ左側の一枚パネル!この大きな面を調えるのは大変な作業なんです。

そして左側のロッカーパネルも張り替えます。
インナーパネルも部分的に新造して張り替えます。広範囲な錆びの場合はすべて張り替えるのですが状態によって方法を変えています。
新品のアウターパネルです。もちろんこれも補強&フランジングは行います。
内側の防錆は欠かさずに行います。しかもこれだけではありません! 溶接部分にも「ウェルドコーティング」という防錆材を塗るんです。
溶接が完了した左ロッカーパネルです。
そしてアルミパテで修正した後に、このピンクのパテで表面を最終的に整えていきます。
さぁ、いよいよBUSの顔廻りですよ! 美容整形手術です!?
左フロントにダメージ後があり、きちんと下処理する為にヘッドライトのオカマ!?を外しました。
鍋ではありません!(笑)
BUSのウィークポイントの一つ、顔下の腐食です。ここは水が溜まりやすいのでしょう。傷みが出ているBUSが多いようです。
インナー&アウターパネル共に張替えです!
歯欠け婆さんみたいになっちゃいました・・・(涙)
フロントのフレームです。ここは修正機を使っても出てこなかったので切り取ってからBOXを修正しました。さすがに硬いです!
フロントエプロンが付きました!
そしてドリル穴が開けられていた顔も、綺麗に整形できました。
左ドッグレッグにもサフェーサーが入ったところです。
カーゴドアにも錆び穴が・・・もちろん張替えです。
エンジンハッチには大きなダメージはありませんでしたので、剥離後すぐにサフェーサーを入れます。
リアゲート&エンジンハッチにサフェーサーが入ったところです。
左フロントドアは大きなダメージがありませんでしたが、右ドアは・・・。
下側に大きな錆び穴が・・・。
内側にも大きな錆び穴が開いていたので、大掛かりな作業になりそうです。
アウター、アンダー、インナーとパネルを平板から作り直します。
結局インナー、アウターパネルともにサビで腐っていた箇所は全て切り落とすことにしました。新たに製作したパネルをバイスで仮組みして、各部の寸法をチェック。全てを確認してから溶接に入ります。
そして本溶接!
アウターパネルもご覧のように綺麗になりました。
サフェーサーが入ると穴が開いていたのがウソのように綺麗になりました!
アウターパネルです。
そして苦労したインナーパネルも、ご覧のとおり!!
バンパーももちろん剥離してからの下処理です。
長くかかったボディーの下処理も終わり、塗装屋さんに出します!
当社は塗装ブースを持っていない為に、塗装専門の業者さんに外注になります。
オリジナルのシーリングワックスレッド&ベージュグレーに塗装された’61Westy!!

見違えるほど綺麗になりました!!
各部外装パーツの組付けです。これはフロントドアのウィンドフレームを組んでいます。
そしてドアに取り付けられたウィンドサッシです。
インテリアはIWAMOTO様指定のカラーで張替えです。ボディーカラーによくマッチしています!!
そしてシートの張替えも社内で行います。
綺麗に張り替えられた、フロントシートです!
ここからが凄いですよ!! なんとお客様みずから内装を外して家に持って帰りました!
ご自宅で、キャビネット類をペーパーで綺麗に削って、ニスで仕上げるんですよ!
そして金具もすべてハンドポリッシュ! ピッカピカです!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
なんとヘッドライナーのボードも、お客様の手作りです!
 
どうせならと、貼り付けているのは建築用の防温材です。これをインナーパネルの内側にすべて入れていく事にしました。
 
綺麗に張り替えられたヘッドライナーです!とても素人さんの仕事とは思えませんよね!(脱帽)
 
 
綺麗にニス仕上げされたキャビネット類も、取り付けが進んできました!
真面目な話、この内装作業はほとんどご夫婦でやられていました。
我々はほんの少しだけお手伝いしただけなんです。ナンといっても、「My カンナ」持参できたお客様は初めてです!(笑)
 
すべてのインテリアが取り付けられました!
ハンドポリッシュにて仕上げられた、ルーフのテントフックです。ピッカピカ!!
さてさて、いよいよ心臓部のお話です。クランクはVブロックで歪みのチェックをします。
エンジンケースは、BigBore用に穴を広げてあります。
リビルトが終わったコンロッド!
片側のケースに組み付けられたクランクとカムシャフトです。中身はこんな風にかみ合って回っているんですよ!
そしてNEWのピストン&シリンダー!
ヘッドももちろんリワーク済みです。ガイド交換、シートカット、シリンダーが入る部分もフライカット済み!
冷却用に取り付けたオイルサンプです。 オリジナルエンジンでしたらこれは必要ありません。
ロッカー廻りも、一つ一つ部品のチェックをします。
綺麗にペイントされたエンジンのカバー類です。
コンプリートに向け、組付けされていくエンジン。
ずいぶんVWのエンジンらしくなってきました。
今回使用するキャブレターは、Weber40IDFです。BERGのリンケージとの組み合わせは迫力がありますね。
今回ミッションは高速用の3,44ファイナルを使用する事になりました。
3,44(上)と4,125(下)のピニオンギアの大きさの違いがおわかりいただけますか?
ミッションの部品をチェックしています。
各部のチェックが終わり、組み付けられたピニオンシャフトです。
そしてミッションジグに固定してから、各部の細かい調整やギアのかみ合いを確認します。
完成したミッション本体です!
EARY BUSはここが大変! リダクション廻りの部品をチェックしてからミッションに組みつけていきます。
ボディーに載ったミッションASSY!
切開したロッカーパネルもご覧のとおり綺麗になっています。
組み上がったエンジンを搭載しました。
Weberを付けるとエンジンルームの雰囲気がとっても良くなります!
’04の夏は、とっても暑かったです。その暑い盛りの作業をお手伝いして頂きましたIWAMOTO様
本当にお疲れ様でした!
マフラーは大阪のジェフリーズさんのステンをチョイス! 非常にハイクオリティな造りです。
運転席まわりは程度が非常によかったのでオリジナルのままをキープしています。ステアリングもオリジナルです。
そしてすべてのレストア作業が終った’61Westyです! お気に入りの一台です!!
外観だけでなく内側にもしっかりと手が入っておりますので、この次レストアするのは20年以上先のことかもしれませんね。
キャビン部分も新車の時以上のコンディションになったと言っても過言ではないでしょう。
我ながら言うのも何ですが、本当に素晴らしい仕上がりとなりました。仕事とはいえ、作業している期間、本当に楽しかったです。
初期モデルのウエストファリアはキャビネット類が本当にゴージャスな造りです。
IWAMOTO様は納車後、早速北海道まで自走で旅に出かけたそうです。エンジン、ミッション等もしっかりとOHしておりますので、安心してロングドライブに出かけることもできます。