1058さん:「キャンパーは好きなんですけど、横のキャビネットは要らないんですよね・・・。」 
八百屋:「お勧めのキャンパーが有りますよ! はなっからキャビネットが付いていないキングベッドです!」
1058さん:「エッ! そんなのがあるんですか?」
たしかこんな会話から始まったと思います。 
私のアメリカの友人、DAVEさんから買わない?と言われていたSandialCamperの写真をお見せしたところ、一週間後にご契約いただきました。ウルトラレアなキングベッド、オリジナルを多く残した最高のベース車輌でした。オーバーレストレーションは絶対にしたくない! そんな我々の考えと、オーナーである1058さんの希望を組み入れながら、どのように仕上がっていくのかゆっくりご覧下さい。

UCHINO's 1966 Sandial Camper
2004 VW Classicでの一コマ!
Classic前にDAVEさんからのオファーがあり、ここではじめて見せていただきました。
写真右がDAVEさん、左がEddyさんです。
ウォークスルーのためスペアータイヤはフロントマウントでした。
日本の方にはあまり好まれないようですが、ベッドスペースを有効に使うにはここしかない!
サイドテントがイイ雰囲気を出していますね!
後ろから見たベッドです。
通常はカーゴドア側にキャビネットが付いているのですが、広々している室内空間はキングベッドならでは!
キャンパーの必需品折りたたみ式テーブル。
どうですかこの広さ! 3人は余裕でしょう!!
前から見たベッド。
オリジナルの1500ccエンジン。
横浜本牧ふ頭に到着したSandialCamper!! この場所、ホントは撮影禁止なんです・・・。
オールオリジナルのフロントインテリア!
ヘッドライナー&サイドパネルもご覧のコンディション! もちろん張替えはしません!!
さぁ〜、いよいよ作業開始!
外回りの部品を外し、エンジンも降ろします。
フロントに付いていたスペアータイヤを外すと、BUSの顔に戻りました。
窓まわりも慎重に分解します。
フロントドアの内側も、ご覧のとおりドライコンディションです。日本じゃ考えられませんね・・・。
オリジナルペイントのドア裏! 素晴らしい!!
先ずはルーフの剥離作業から始まりました。
面修正が終わり、サフェーサーが入ったところです。
左サイドの剥離作業です。 冬に作業していましたから、一気に行きます!
左リアホイールハウス前に傷みが・・・。
左フロントメンバーにも同じようなダメージがありました。
すみずみまで下処理する事が大切です。
なにもトラブルがなかった上側はサフェーサーを入れました。
さて、先ほど傷みがあった左サイドメンバーを切開する事に・・・。
インナーパネルも部分切開が必要でした。
防錆鋼板の平板から作ったインナーパネルです。
パネルの張替え後内側にもPOR−15を塗布。見えない部分にこそ防錆処理が必要なんです!
張り替えた部分のツルツルパネルにはPOR−15は塗りません。
剥離&面修正の後サフェーサーが入った左ドア。
ドアの内側にはおなじみPOR−15 を塗布します。
裏側にもご覧のとおりです!
切開した左サイドメンバーのアウターパネルです。 外に見えている何十倍も裏側は傷んでいるのです。
リプロのロッカーパネルを整形してしています。出来合いのままは使えません。
POR−15を塗布後ウエルドコーティングを吹きつけ、アウターパネルをセットする準備が完了!
アウターパネルの裏側にもウェルドコーティングを塗布。 溶接部分を少しでも保護しようという事なんです。
仮溶接後に切開部分を全溶接します。 その方が鉄板が動かなくなり後のトラブル防止になるはずです。
溶接後に面修正を行います。溶接面は平らに削り、上の面はお灸をすえて凸凹を修正します。
最小限の板金パテで表面を整えていきます。
リアコーナーも並行して作業します。
最小限の板金パテで表面を整えていきます。
ポリパテで表面を最終仕上げします。
左サイドにサフェーサーが入りました!! ここはBUSのレストアの中で、一番気を使う部分ですね。
右コーナーに腐食穴が・・・。 ここの裏側にはバッテリーがあります。
VWに限らずバッテリー廻りの腐食は仕方ありませんね・・・。迷わず切開!
新しいバッテリーフロアーパネルです。
ここは内外いっぺんに作業することに。
バッテリーパネルも張替え、各部の修正を行います。
ポリパテが入った右コーナー。
バッテリー部もご覧のとおり!
右コーナーも作業終了!!
板金作業が終わったリアゲート。
リアエプロンも同じような作業を行います。
エンジンリッドも剥離後に面修正を行います。
サフェーサーが入ったエプロン&エンジンリッド。
右リアホイールハウスにも腐食が発生していました。 もちろん切開&パネル張替え!
板金パテで面修正。
同時に右側面も剥離しました。
ピンクのポリパテが塗ってある部分以外は、凹みも傷もありません。
 
最高の下地にサフェーサーが入った右側面。
カーゴドアの剥離作業。
切開無し! 板金パテで面修正するだけでOKでした。
サフェーサーが入ったカーゴドア。
前側のカーゴドアもご覧のとおり、大きなダメージはありませんでした。
Bピラーから右ドッグレッグまでの剥離作業です。
右ドアの剥離&面修正です。 ここも最高のコンディションでした!
ドアヒンジの剥離。 細かい作業です・・・。
サフェーサーが入った右ドア。 あっさりと完了!!
さぁ〜いよいよBUSの命ともいえるお顔の整形です!
ナニやら下側にきな臭いにおいが・・・。
やはりサビ穴があり、切開する事にしました。
切開した顔下の裏側にPOR−15を塗布。
切開したパネルの裏側には、やはりサビがビッシリと・・・・。
ここも防錆鋼板の平板からアウターパネルを作成します。
インナーフレームと仮溶接します。
作成したアウターパネルをボディーにあわせて、細かい寸法の確認をします。
そして溶接!
本溶接は写真のように全溶接します。 点付けでは後で塗装面に割れが出ることがあるために、このような作業になります。
溶接面の凸をサンダーで削り、面修正の準備です。
窓下のラインもキレイに剥離します。
これで鉄板の修正は全て完了しました!
スペアータイヤのブラケット穴も修正して、板金パテで面修正を行います。
面修正最終段階のポリパテです。
サフェーサーが入ったフロントマスクです。
場所は変わってインナーの足元です。 ここはほとんどのBUSに傷みが出ています。
しかしこのSandialにはほんの僅かしかサビがありませんでした!
黒い塗料はPOR−15です。 表面の薄いサビを処理します。運転席側も同じくPOR−15を塗布。
切開した面を修正します。
サフェーサーで完了!
左側も同じく完了!
さぁ〜塗装屋さんへの旅立ちです。
サイドパネルのラインがキレイに揃っています。
左側も切開したとは思えないぐらいキレイに仕上がりました。
バンパーも同じく剥離&面修正でサフェーサーを入れます。
オーバーライダーの面修正。
窓廻りのサッシはBUSならではです。
バンパー全てのパーツにサフェーサーが入りました。
お帰り〜!
オリジナルカラーのL87 Pearl Whiteで仕上げられたSandialCamper!
うしろ姿も艶っぽい!
エンジンルームもご覧のとおり!
隅々まで塗りこむのは、本当に手間が掛かるんですよ。
切開したバッテリーフロアーもきれいに仕上がりました。
もちろんフロントフロアーもご覧のとおり!
しか〜し! よく見てください。インパネには全て部品が付いているじゃありませんか。

冒頭でも申し上げたオーバーレストレーションにはしたくなかったので、今回インパネはペイントしていません。
  オリジナルペイントのままなのです!!
ドアの裏側にもきれいにペイントが入っています。
外装の組み付けと並行して、エンジン&ミッションのO/Hを行います。
分解後に各パーツのチェックです。
クランクケースはラインボーリングをして再使用する事になりました。
クランクは1アンダー研磨して再使用。 消耗品は全て交換です!
ケースに組み込まれたクランクシャフトAssyです。
ショートブロックまで組み上がったエンジン。
クラックも無かったヘッドは、全てのバルブジョブを行い再使用しました。
空冷FLAT4のシリンダー&ピストンです。
ロングブロック一歩手前まで組み上がりましたエンジン。
エンジンカバー類もきれいにペイントします。 下処理が肝心です!
サフェーサーが入ったエンジンのカバー類です。
ブラックにペイントされたカバーです。
マフラー、プーリなど外回りのパーツも組付けられてきました。
ほぼコンプリートになったエンジンです。
ドアのウィンドフレームの組み付けです。 もちろん新しいラバーに交換しながら組み付けていきます。
ヘッドライトも分解して、レストアします。
ベントウィングの組み付けです。 これのおかげで夏も暑くない!・・・・??
リア廻りも組み付けが進んできました。
フロントウィンドも組み付けられました。
ヒンジにはスプレーグリスを流し込み・・・ 
キャップをします!
フューエルリッド廻りもキレイに組みつけられました。
各部組み付けが進んだフロント廻りです。
ヘッドライトが付くとBUSらしくなりますね!
オリジナルペイントのインパネは、細かいところまでコンパウンド&ワックスで磨き上げます!
各ウィンドフレームも組み付けが進みました。
ゴムのシートを丸く抜いているところですが、これってナンだと思います?
キャンパー特有のルーバー窓のフレームです。 オーナー自らゴシゴシとポリッシュして磨き上げました! 上で抜いていたゴムは、ここのガラスを抑えるためのものです。
一番前はポップウィンドです。 風が入るように考えたのかな・・・??
ピカピカにポリッシュされたウィンドフレームがきれいです! 冬の寒い中ゴシゴシやった甲斐がありましたね!!
分解されたリアアクスル廻りをスチームで洗浄します。
アクスルを外したミッションです。
分解されたミッションケースもきれいに洗浄します。
こちらはミッションの中身です。
メイン&ピニオンシャフトから各ギアを外し、各部のチェックです。
洗浄されたミッションケース
ミッションの中身はホントに細かいです・・・。
使われていたピニオンはなんとスプラインタイプでした。
ウチのレースカーのミッションと同時進行で進めたピニオンシャフト。
各シャフトをケースに組み込み、ジグにかけてフォーク調整と各部の動きをチェック!
さぁ〜いよいよミッションケース本体に組み込みます。
デフのバックラッシュを最終チェックします。
リアのフレーム廻りに防錆塗料を塗布します。ミッションを載せる前に細かい部分にまで塗りこみます。
コンプリートになったミッションをペイントしました。
アクスルを組み付けて車載の準備!
フロントの足回りのO/Hです。
スピンドルのO/Hを行いました。
キングピンブッシュにガタがあったため、リン青銅の棒から削りだして作ったブッシュに交換します。(写真右)
プレスインするキングピンブッシュ。
きれいにセットされました! でもこのままじゃダメです。
上下のブッシュの芯を出すため、リーまーで削ります。
そのアップ写真です。 サイズを確認しながら少しずつ削ります。
プレスインしているキングピン。
これでグリスアップすれば完璧です!!
足回り担当のHIRO君。 細かい作業ですが彼はイイ仕事します!
リンクピンも全て分解後、チェックしてから組み付けます。
BUSのリンクピンにはニードルベアリングが使われています。 車量が重いBUS ならではですね。
全ての組み付けが終わったスピンドル。
そしてバックプレートを組み、ブレーキを組みつけていきます。
車載されたエンジン!
エンジン廻りの配線はほとんど引き直します。
インパネ下のメーンハーネスも、配線をチェックしながら組み付けます。
まわりをマスキングして、前まわりの防錆塗装をします。
エアーガンで勢い良く吹き付けます。
塗りあがったフロアーです。 少し青っぽく見えますが、乾くと真っ黒になります。
WAKOのトランジスター点火装置も取り付けられ、コンプリートになったかに見えますが・・・
足回りの整備が完了して、やっとリフトから降りたの図!
後ろからもパチリッ!・・・まだまだ作業は残っているのに、ナニやらホッとした気持ちでした。
最近依頼の多いクーラー取り付けです。ファミリーカーとしてお使いになるお客様が多くなったってことですね。
もともとビートル用に作られたクーラーKITですから、細かいところを加工しながらの作業になります。
エンジンにもコンプレッサーが取り付けられました。
アンダートレイに吊り下げるように室内ユニットが取り付けられます。
これはコンデンサー。 ラジエターみたいなもんですね!
整備性、冷却性、ロードクリアランスを考えて、この位置に取り付けました。
良さそうでしょ?
リアベッド下にベバストヒーターも取り付け! これで冬も暖かフル装備!!
奥の下側に有るのがヒーターの吹き出し口です。
フロントシートはさすがに張替えが必要でした。 分解されたシートフレームです。
アンコはもちろんおなじみのヘアーロック! 座り心地はオリジナ〜〜〜ル!!
内装張替え担当のHIRO君。性格からか細かい作業は得意なんでしょうね。
仕上がったフロントシート、この平面さが大切なんです。オリジナルのシートは硬くて平たいのです!
ドアパネルの張替えです。
シートの表面はファブリックをチョイス! 夏は蒸れなく冬暖かい。
クーラーユニットの取り付けをしながら、インテリアもコンプリートに!
ダッシュ回りはオリジナルペイント生かしたこだわりの仕上がりとなりました。
全ての作業が完了! コンプリートになったSandialCamperをご覧下さい。
毎日の幼稚園の送り迎え、お買い物の足、そしてもちろんレジャービークルとしても活躍しているようです!
 
いつまでも大切にしてくださいね!!
 
 
 
 
’05年12月に来日したDAVEさんとEDDYさん。前オーナーであるDAVEさんと新オーナー1058さんのご対面です! DAVEさんがいきなり「買い戻したいんだけど!」って言ってきたのには笑いましたね!